以前に勤めていた会社のメンバーから、こんな相談を受けました。
彼女は当時、私が在籍したチームの一員で、仕事がとてもできる優勝な女性でした。仮にAさんとしましょう。
私がその会社を離れた後も順調に昇進し、今ではチームリーダーとして活躍しています。
さて、本題はそのAさんの相談内容です。
最近、彼女のチームに、新しく移動してきたメンバー(仮にBさん)が、
日常的にスピリチュアルなアドバイスをしてくるようになったとのこと。
Bさんによれば、彼女は昔から「スピリチュアルな力」を持っていて、
人のオーラが見えたり、身体や心の状態、他人との相性まで分かる。
そして最近では、「エネルギーの操作」までできるようになったのだそうです。
Aさんはスピリチュアルに多少興味はあったものの、専門的な知識はなく、
最初は「そういう考え方もあるのか」と軽く受け止めていたそうです。
しかし、次第にそのアドバイスが「意見」ではなく、
「指示」や「警告」のような強制的なものへと変わっていきました。
たとえば、こんな言葉です。
「私は人のオーラがみえるの。Aさんの今日のオーラは黒味がかかっていてあまり調子がよくないようだから、もう帰ったら」
「いま打ち合わせしていたお客さんはどこの人?私は人の本質がわかるんだけど、あの人は良くない人よ。いっしょに仕事するのやめたほうがいい」
「私のリーディングのとおりにしないと、あまり良いことにはならないよ。以前に無視した人は大変なことになったんだ」
ネガティブな発言ばかりが続き、Aさんは徐々に自由な行動ができなくなっていきました。
とはいえ、Bさんは「私の助言を無視すると良くないことが起こる」と言ってくるため、
完全に無視することも怖くなっていたそうです。
——————————-
実は、このようにスピリチュアルを使って他人をコントロールしようとする人は、
意外と多く存在します。
スピリチュアルは目に見えないものだからこそ、都合よく解釈され、
相手に「恐怖」や「依存」を与えるための手段にされがちなのです。
Bさんの言動からも、「私は特別な力を持っている」と誇示しながら、
Aさんより優位に立とうとする姿勢が見て取れます。
私はAさんに、Bさんの行動がどのような意図で行われているかを丁寧に説明し、
少しずつ距離を置くようアドバイスしました。
しかしAさんは、「○○しないと悪いことが起こる」という
スピリチュアルを使った脅しが、どうしても怖いと言うのです。
——————————-
この段階で、Aさんはすでに「自分の判断」より
「Bさんの助言」を優先してしまうようになっており、
軽度のマインドコントロール下にあったといえます。
もしBさんが、さらに巧妙なタイプであれば、
「Aさんの気持ちはわかるよ」などと共感を示しながら信頼関係を深め、
より深く入り込んでくるでしょう。
今回はそこまでには至りませんでしたが、それでも予断は許されません。
——————————-
そこで私は、一計を案じました。
それは、私がAさんの顧客として商談の場に現れ、
成功する姿をBさんに見せる、というものでした。
Bさんは、Aさんがうまくいくことをよく思わないので、
きっと私に対する「ネガティブなリーディング」をするはずです。
もし、Bさんのリーディングが嘘であるなら、その矛盾がはっきりするからです。
案の定、私が帰った直後にBさんは言ったそうです。
「あの人、実は○○な背景がある。関わらないほうがいいわ」
Aさんは興味を持ったふりをして、さらに私についてリーディングさせ、
具体的な内容を引き出していきました。
そして、私との「答え合わせ」をしてみると・・・結果は、すべてハズレ。
この一件で、AさんはBさんの言葉に力がないことをはっきりと理解し、
以後は動じることなく、適切に距離を取れるようになったそうです。
——————————-
スピリチュアルは本来、自分自身や自然、宇宙とのつながりを深めるための道具です。
他者を支配したり、脅したりするためのものでは決してありません。
もし、「私はあなたの本質がわかる」「オーラが見える」などと、
頼んでもいないのに語ってくる人がいたら、まずは慎重に距離をとることです。
それが、あなた自身を守るいちばんの方法です。